キヌアは、ほうれん草などの近縁にあたるアカザ亜科の植物。食用販売されているキヌアは、この植物のタネ(穂)の部分を指します。自然界において、人間が必要をする栄養素を限りなく豊富に含む食品といわれ、宇宙食候補としてNASAにも評価されている南米アンデス地方発祥のスーパーフード。
キヌアの魅力
1.オールジャンルな栄養素
キヌアは、「21世紀の主要食」とNASAに言わしめるほど栄養価の高いスーパーフードで、タンパク質やアミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維、必須脂肪酸など様々な栄養素が充実しています。
2.ダイエットやメタボ対策に効果的
低GI食品であるキヌアは、血糖値の上昇をゆるやかにするため、太りにくい食品とえます。また、悪玉コレステロールを排出する食物繊維も多く、ダイエットや生活習慣病予防に役立つスーパーフード。
3.女性にうれしい働き
キヌアには、女性ホルモンと似た働きをする「植物性エストロゲン」が含まれているほか、女性に不足しがちな必須アミノ酸や葉酸、鉄分・亜鉛などといったミネラル分を手軽に補うことができます。貧血や冷え性、骨粗しょう症などの対策につながりますので、女性とっては大変ありがたいスーパーフード。
キヌアの食べ方
茹でたものを主食がわりにする、白米を炊く際にキヌアを混ぜて雑穀米にする、といった食べ方が一般的で、もちっとした食感が楽しめます。茹でたキヌアをサラダやスープにトッピングしたり、ハンバーグのタネに混ぜたり、といった使い方もできる、比較的万能なスーパーフード。
なお、キヌアには植物毒の一種である「サポニン」が含まれてます。市販品の多くはサポニンを除去して販売されていますが、念のため「洗う・茹でる」といった水を通す調理法をとって下さい(サポニンは水溶性のため、洗う・茹でることでたいてい除去できます)。
また、サポニンには苦味がありますので、キヌアを食べたときに強い苦味を感じたら、食べるのを中止して販売元や製造元に問合せした方が良いかと思います。
キヌアの選び方
キヌアは生命力が強く農薬や肥料なしでも育つため、オーガニックマーク無しでも、有機栽培・自然栽培されているものが多いです。ただ、オーガニックマークを取得しているものは先進国向けになっているものが多く、サポニンの除去など安全管理の面で信頼性が高いといえます。
産地については選択肢が少なく、主産地であるボリビアやペルーといった南米のアンデス地方の国に限られます。農産物であれば国産を選びたいところですが、国産キヌアは試験栽培レベルのため、一般流通するほどの生産量はありません。
なお、あまり知られていませんが、キヌアにも品種があり、ウユニ塩湖付近などで栽培される「塩地型」や、標高3,000m超で栽培される「高原型」など、栽培環境によって「塩地型」、「高原型」「谷型」「海岸型」の4品種に分かれます。
日本で販売しているところも、キヌアの品種や原産地までは正確に把握していないことが多いのではないでしょうか。逆に、品種・原産地を特定できるようであれば、トレーサビリティがしっかりできている製品といえます。
品種による違いは次のようになります。
・レアル種(塩地型) ボリビアの塩湖周辺でのみ栽培される品種。粒形や品質が良く、高タンパク。ただし、サポニンの量はやや多め。輸出品種では一番流通しているポピュラーなキヌア。 ・ウィティージャ種(高原型) 寒いところでも育ちやすい品種のキヌア。 ・デュルセ種(谷型) ボリビアのラパスなど谷間で栽培されることが多い品種のキヌア。先述のレアル種よりも粒が小さいのが特徴。 ・パサンカジャ種 最近、アメリカ向けに指定栽培され始めた品種で、栄養価が高いと言われるキヌア。炒めると粟おこしのように膨らみやすいのが特徴。 ・サワー種 化学肥料・農薬栽培などが用いられやすい品種。粒は大きめだが、サポニンの含有量が高く、食味や品質はレアル種より低いとされている。 |
キヌアの豆知識
1.実は有毒!?
キヌアの殻皮には、サポニンという植物毒が含まれています。サポニンは、強い苦味や赤血球を破壊する作用があるため虫や動物が寄り付きにくく、植物が自分を身を守るために分泌する防衛成分といえます。
化学が未発達な時代には、植物由来のサポニンを洗剤や化粧品などに利用してきましたし、身近な食品や植物にもサポニンは含まれています。単純に「毒」として扱ってしまうのはどうかと感じますが、キヌアにも毒と呼ばれる成分が含まれているのは事実です。
ちゃんとしたところのキヌアであれば、洗浄工程でサポニンを除去※してありますから、そこまで心配することはありませんが、「薬も過ぎれば毒となる」です。栄養価の高いキヌアとはいえ、偏って食べれば毒になってしまうかもしれません。食事はバランス良く摂ることが大切です。
※「キヌアの食べ方」でも書きましたが、サポニンが残っていると苦味を感じます。風味に不信感があれば、製造元や販売元に確認しましょう。
2.ほんとに高栄養で低カロリー?
よくキヌアの宣伝文句で、「タンパク質○○倍」のようなキャッチコピーを見かけますが、それは「主穀(コメや小麦など)」と比べての話です。キヌアはたしかに栄養価の高い雑穀ですが、栄養素によっては豆類などの穀物の方が優れている場合もあります。
また、キヌアは白米よりカロリーが低いと言われますが、炊飯(茹で上げる)前の状態で比べると、キヌアの方がやや高カロリーです。ただ、キヌアは白米よりも膨張(吸水)しやすく、炊いたり茹でるなどの調理を行うと水分の割合が高くなります。そのため、調理したものを茶碗1杯分で比べたりすれば、キヌアの方が低カロリーになります。
ブームのせいで誤解を生むようなセールストークが増えましたが、どちらにしても、「主食」としてみれば栄養価の高い雑穀です。色々な食材と組み合わせながら積極的に取り入れていきたいものです。
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